2025年8月22日に日経BPから発売予定の「AWS生成AIアプリ構築実践ガイド」を著者の一人から献本いただいて発売前に読むことができたので、書評を書きます。一通り目は通しましたが、各章をしっかりとは読み込めていないので、全体像の紹介といった内容です。AWS 上での生成AIサービス(主に Amazon Bedrock)を中心に基礎から活用方法まで解説したうえで、実際に手を動かして学ぶことができるように工夫された書籍です。(なお紙の本の発売日はアマゾン等では8月22日に、電子メディア(Kindle)版は8月21日配信予定になっています。)

本書は3部構成で、第I部(1章~5章)では生成AIアプリ構築に必要となる基礎部分の解説がまとめられています。特にLLM/FMやRAGといった生成AIを知る上で重要な要素についてはそれぞれ1章を割いて解説しており、AWS環境以外の人も、生成AI入門の本として参考にできそうです。

本書の特徴はAWS上の環境で自分で手を動かして経験できるよう準備されているところで、1章の中でもスクリーンショットを交えたステップバイステップの解説があることに加え、3~7章で利用するプロンプトやnotebook 、Pythonコード等をGithubから取得するできるようになっています。特にプロンプトの部分は、プログラミング経験がなくても、コピー&ペーストで動作を確認 -> プロンプトを変えて自分なりに修正といったことができますし、Amazon BedrockをはじめとするAWS環境は、使ってみてうまくいかなければ消すということが簡単にできることもあり、初学者が学習を進めやすい環境が提供されています。

第I部で基礎を学んだ後、第II部では本格的な生成AIアプリ(RAGを含んだアプリや、マルチエージェント形式のアプリ構築)にトライする形になっており、チャットでのAI活用の基本は理解しているけど、アプリは作ったことないという方向けにも次の段階への解説とハンズオンを提供する内容になっています。

生成AI周辺の開発は非常に活発なので、書籍を出すころには情報が古くなってしまっている場合もあるのですが、本書は2024年末に発表されたばかりの Amazon Bedrock AgentCore や最近ユーザーが増えているStrands Agents等のトピックも含んでおり、基礎を踏まえつつトレンドもうまく押さえています。

第III部は、応用的な内容で特に8章は生成AIアプリを本番環境に適用する際に検討すべきポイントをコンパクトにまとめた形になっています。約20ページの中に、ガードレール、Well-architected フレームワーク、運用等のポイントが入っているため、やや駆け足ではありますが、本番運用に向けた調査のとっかかりになる内容になっています。

本書は黒青の二色刷りで提供されており、図表やコードサンプルが地の文章と区別しやすく、白黒のスクリーンショット上に書かれたマーク(青色)等、見やすく工夫されているのも良いところです。

本書を通して眺めた際、既存のサービスやフレームワークに対してプロンプトを与えるだけで色々なことが簡単に実現できることに驚く一方で、第II部からはPythonで書く割合が増えてきており、プロンプト、コードを適材適所で使いこなす必要があるということが現在の開発者に求められている状況なのだとあらためて思いました。この比率はきっと今後変わっていくのだと思いますが、生成AIアプリ開発の現在地を教えてくれる本だと思います。

これからAWS上で生成AIアプリを開発するという方はぜひ手に取ってみてください。

目次:

第I部 生成 AIアプリの基本
第1章 役に立つ生成AIアプリをつくる
第2章 基盤モデル(FM)と大規模言語モデル(LLM)
第3章 プロンプトエンジニアリング
第4章 RAG
第5章 AIエージェント

第II部 アプリ開発の実践
第6章 RAGアプリ構築の実践
第7章 AIエージェント構築の実践

第III部 実践を超えて
第8章 生成AIアプリ本番導入に向けて
第9章 最強の生成AIアプリのアイデアを練り上げよう

付録 AWSでのJupyter Notebook環境の準備

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