今年(2023年)に入ってから、私を含めたホスト3人がゲストのお話をうかがう、SKO Radio というPodcastをはじめました(Youtubeでも公開しています)。収録は基本的にリモートで行う想定になったので、Podcastのリモート収録(録音)に利用できるサービスや環境について調べました。その調査内容のまとめです。

2025年8月17日追記:各種サービスの内容を含め確認しなおし、全体を更新しました:2023年からの2年間でPodcast収録サービスの環境は大きく変化し、無料プランを提供するサービスが減少する一方で、4K録画、AIによる文字起こしや自動編集といった機能が充実しはじめています。

リモート収録で重視する機能 – SKO Radioの場合

収録(録音)に必要となる機能はPodcastの内容や運用スタイルによって異なると思いますが、 SKO Radio のリモート収録では以下の機能を必須としてサービスを調査しました。

必須の機能

  • 参加者毎に音声ファイルが生成される事(マルチトラック録音):Podcastの編集においては、しゃべっている人の声を残しつつ不要な声やノイズをカットすることが多々あり、Podcastをやる上では必須といって良い機能だと思います。
  • ローカル録音のサポート:音声をサーバーに送って、そこで録音するのではなく、いったんはローカルPC(ブラウザ)側で録音し、そのデータを平行してサーバーにアップロードする方式です。ネットワークの調子が一時的に悪くなっても安定した音声が録音できるため、これも重要な機能です。
  • 最低でもリモートで4名参加可能:SKO Radioはホストが3名のため最低でも4名入れる必要があります。これはPodcastの運営スタイルによって大きく異なるところでしょう。
  • PC/Macのブラウザだけで参加できる:これを重視したのは、色々なゲストに出てもらう事を考えると、ソフトウェア(アプリ)を入れないと使えないようなものは避けたかったためです。
  • ⑤無料もしくは安価に利用できる範囲で、毎月数時間程度の音声録音が可能なこと。

一方で、以下はあれば嬉しいが必須ではないと考えた機能です。

あれば嬉しい機能

  • ブラウザ内での音声編集機能:カット編集等がブラウザでもできると便利です。ただ、私の場合は別途PCのソフトウェア(Reaper)で編集することにしたので、これは必須ではありませんでした。Audacityをはじめとして、無料で利用できる編集ソフトは多数存在します。
  • 音声クオリティ向上のための仕組み:背景ノイズ削除やイコライザ等を持っているサービスもあります。こちらも収録語の編集ソフトで加工する想定だったので必須ではありませんでした。
  • スマホからの参加:これはむしろ必須と考える方も多いのではと思いますが、SKO Radioの場合、ゲストはIT業界の人であり、まず間違いなくPCを持っているのでこれも必須ではありませんでした。
  • ビデオPodcast収録:昨今Podcastをビデオ付きで公開したりYourubeにも平行でアップロードする流れもあり、各サービスもビデオ収録には力をいれており、4K収録可能をうたうものもあります。ただ、私たちはビ音声のみのPodcastの想定でした。
  • Podcastのホスト機能:公開したPodcastのMP3ファイルをホストしてくれる機能です。SKO Radioでは別途Spotify for Podcaster (旧:Anchor)を使う予定だったので、必須ではありませんでした。

無料で利用できるリモート収録サービス:まとめ

全てを確認したわけではありませんが私が調べた範囲は以下の通りです。

表は最初にブログを書いた2023年から状況が大きく変わっており、2025年に再度書き直したものです。2025年8月時点では、以下のサービスの中でマルチトラック録音を無料プランで利用できるものはSquadCastだけで、かつ月に1時間までという制限があります(追加費用で延長できます)。一方でどのサービスもPCのローカル録音には対応しているようです。

サービス①マルチトラック録音②ローカル録音③参加可能人数(ホスト+ゲスト)④参加方法⑤無料プランでの録音時間音声フォーマット
Zencastr以前は無料プランがありましたが2023年に廃止12PCブラウザ有料プランでは無制限 有料プランは16-bit 48kHz WAV
Cleenfeed△ マルチトラック録音は有料プランのみ規定なし。マルチトラック録音の場合は最大32PCブラウザ無制限(音声)MP3 256Kbps(mono), 320Kbps(stereo)
Riverside△ マルチトラック録音は有料プランのみ8PCブラウザ/スマホシングルトラック録音は無制限無料プランは44.1kHz WAV, 有料プランは48kHz WAV
Podcastle△ マルチトラック録音は有料プランのみ10PCブラウザ/スマホ音声のみは3時間(月をまたいでもリセットされません)無料プランは MP3 160Kbps , 有料プランは 320kbps MP3 or 1411kbps WAV
SquadCast  by descript10PCブラウザ/スマホ無料プランでは1時間/月、追加録音は1時間あたり5USD48Kbps/16bit WAVおよびMP3

マルチトラックレコーディングは一人で収録するのであれば不要なので、その場合はRiversideの無料プランがおすすめです。私は有料プランの方を利用していますが、機能も豊富でサービス提供品質も安定しています。

無料でマルチトラックレコーディングかつ月1時間以上の録音という条件ですと、Podcast用ではないですがZoomは場合によっては有力なサービスになりそうです。こちらの記事にあるようにうまく設定すれば良いクオリティでマルチトラックレコーディングできるようで、無料プランの40分という長さに1エピソードが収まるなら試す価値はあると思います。サービスの実績については他を圧倒していると言えます。

なお配布用のホスト環境は前述のようにSpotify for Creators (旧:Anchor)にしました。これは無料で制限なくエピソード登録できるという点や、大手Spotify傘下のため今後の運営は問題なさそうだと考えたからです。

各サービスの特徴:一言メモ

以下はサービスを調査したときのメモを簡単にサマリしたものです(上記表に記載していないサービスも含みます)。

  • Zencastr: 有名サービスの1つ。PCブラウザだけで利用可能。一番最初にSKO Radioをはじめたときは無料プランがあったので、最初の何回かはZencastrにお世話になりました。
  • Cleenfeed: 有名サービスの1つで、Podcast用というよりリモート音楽スタジオサービス。レイテンシの小ささが特徴。無料プランもあるが、無料プランではマルチトラック録音に非対応。
  • Riverside: このリストの中では比較的新しいサービスながらおそらく最も人気のあるサービスで、無料プランもあり。ただし無料プランではマルチトラック録音には非対応。4Kビデオや、書き起こし、同時ストリーミング配信等、有料プランの機能は豊富。
  • Squadcast:有名なサービスの1つ。2023年に調査した時は無料プランは無かったのだが、2025年に改めて調べたところ月1時間まで録音できる無料プランが追加されていた。
  • Iris – ブラウザのみで利用でき、マルチトラック録音に対応。無料プランは無く、$9/月から($9プランの場合録音は月2時間まで)
  • Podcastle: 2020年スタートの新しいサービス。録音だけでなく音声エディタ、ノイズ除去等も内包した統合的なサービス。以前は無料プランがありましたが、現在は廃止。
  • Zoom: 有名なオンライン会議サービス。比較的最近のバージョンで音声を分離(話者単位で)録音できるようになった事と、音声設定にハイクオリティ(Music)モードが選択できるようになった事で、Podcastのリモート収録にも十分に使えるようになった。無料プランだと一回の会議あたり40分間の制限がある。ZoomでのPodcast録音を実行する際の設定方法についてはこの記事が具体的で分かりやすい。
  • Spotify for Creators (旧Anchor): Podcastのホスト機能だけでなく、リモート収録機能(Record with Friends)があり、無料で時間無制限で利用できる。ただし、ホストはスマホアプリで参加する必要がある(PCから操作できない)

“無料で利用できる Podcast リモート収録環境の調査メモ”. への1件のコメント

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