SKO Radio、OTF Talkという2つのPodcastの編集を担当している中で、Podcast用に音声を編集する際の自分なりの方法は固まってきているのですが、その編集で利用している、音声クオリティを上げるためのプラグインについてまとめます。(※タイトル画像はAIに作成してもらいましたが、本文は100%人間が書いています。)
DAWとプラグイン
ここでいうプラグインというのは、DAW (音楽編集用のソフト)に機能を追加するプログラムのことです。
DAWはCubaseやLogic Proなどの商用ソフトが有名です。私が使っているDAWはReaperで、これも商用ソフトですが、無料で利用できるAudacityなどもあります。
プラグインも商用のもの、DAWに付属するもの、無料公開されているもの等多数あります。プラグインにはVST、AU、AAXといった複数の種類があるため、自分が使うDAWがサポートする種類を確認した上で導入する必要がありますが、VSTとAU両方に対応しているプラグインは多いです。
Podcast用にどのような処理をするか
Podcastにおける良い音は人によって考え方が異なります。たとえば、音声をデッドに処理する(エコーや環境音を減らし、声の輪郭をはっきりさせる)のは、比較的一般的だと思いますが、これだとライブ感が失われるのでやりすぎない方が良いという意見もあります。
私の場合は音声に集中できるようにすることを前提にしていて、以下のような編集を行っています。いわゆるラジオニュースのような音になることを目指しています。
- デッドにする:環境音、エコー・残響音を減らす
- 喋っている人の音声にフォーカスする:無音部分や、聞き手の相槌を(ある程度)カットする
- 聞き疲れしない音にする:ダイナミックレンジ(音の最小と最大の差)を小さくする
前提:良い音で録音する
編集の前提として音源がクリアであることが最も重要です。ノイズだらけの音はどうやっても一定以上のクオリティにはなりません。たとえばPC内蔵のマイクでキーボードをタイプする音を大量に入れた音源の場合、どんな高性能プラグインでも良い音には編集できないです。同様にピーク(音割れ)も修正が困難です(そのような音源のリペアに対応したプラグインもありますが、あくまで最終手段です)。
ですので、まずはできるだけ不要な音を除いて、音割れせずに録音することが重要です。これは高級なマイクを使うということではありません。
それよりも、不要な音ができるだけ入らない環境で録ることの方がずっと重要です。マイクも、たとえばApple EarPods (USB)でもちゃんと使えば十分なクオリティで録音が可能です。このあたりは以前こちらにまとめましたので、参照してください。
私の編集順とおすすめプラグイン
前述のようにプラグインは無料のもの、DAW付属のものもあるので有償のものを買わなくてもPodcast編集は始められます。私もいろいろ試したのですが、買った方が時間の節約・クオリティ向上につながるものを以下にまとめます。
結果としては、ほぼ全部Waves Audioのプラグインになりました。Wavesは膨大なプラグインをリリースしており、多くの種類を使う場合はサブスクリプション形式がお得なのですが、以下で紹介するような1-2個だけ使いたい場合は買い切りのほうが良いでしょう。なお私は買い切りでしか利用していないですが、よく使うプラグインだけは毎年保守費用は払っています。これはバージョンを上げられるのと、2台目のPCに導入する権利が得られるためです。(補足:商用プラグインは結構ライセンス管理
Wavesのオンラインサイトでは頻繁にセール、もしくはxxドル以上かったら1つ無料といったキャンペーンを頻繁にやっているので、うまくタイミングをはかることで安価に購入できます。
私の編集は以下の順番で行なっています。
- 音声のダイナミックレンジを縮小
- LUFS(全体的なボリュームレベル)を-17 LUFSに揃える
- ノイズリダクションとリバーブ(反響音)除去(デッドにする)
- 不要部分をカット(無音部分、相槌、咳など)
- どうしても音声が聞きづらい場合は強調処理
- リミッターを付けて(ピークを超えないようにして)レンダリング
コンプレッサ・リミッターはDAW付属のもので良いです。それらが付属しないDAWはおそらく存在しないです(無料のプラグインも多数あります)。また、LUFSの調整もDAWに付属のオーディオレベルノーマライズ機能で良いです。私の場合はReaperの操作をマクロにして自動化しています。不要部分のカットはまさにDAWの仕事ですね。
そして残りの処理に商用のプラグインを使っています。
- ノイズリダクション:Waves Clarity Vx
- リバーブ(反響音)除去:Waves Clarity Vx DeReverb
- 音声輪郭の強調: Waves Silk Vocal
Clarity Vx
Clarity Vxはノイズ削減のプラグインです。一押しのプラグインで、これなしでの編集は考えられないほどです。

前述のように気をつけて録音はしているのですが、ゲストも私も自宅からオンラインで収録する形ですので、生活音や騒音が突発的に入ってしまうことを完全に防ぐことは難しいです。Clarity VxはニューラルネットワークベースのAIで背景ノイズを除去するもので、周波数ベースのノイズ除去と比較して非常に強力、かつ自然なノイズ除去が可能です。ダイアル操作で効き具合を調整するだけの簡単操作であるのも良いところです。
Clarity Vx DeReverb
Clarity Vx DeReverbは、Clarity Vxと同様にニューラルネットワークベースのリバーブ(反響音)除去プラグインです。また、音声を強調する機能もあります。

Podcastをリモート収録していると、どうしても部屋の反響音が強くでてしまう場合があり、こちらも頻繁に利用しています。基本的にはダイアル1つを回すだけの簡単操作で利用できます。
Silk Vocal
Silk Vocalは上記2つと比べると利用頻度は低いですが、値段も高くないので1つ持っておくのはおすすめです。

ボーカル用のEQ&ダイナミクス・プロセッサーなのですが、歯擦音を減らしたり、強すぎる低音を抑えたり、中音域を強調して声を効きやすくしたりでき、これはPodcastにも有用です。本格的なEQやダイナミクス・プロセッサーは使いこなすのが大変ですが、これは低・中・高音域ごとのダイアルを調整するだけなので、知識不要で調整できます。
まとめ
私がPodcast編集で愛用しているプラグインを簡単に紹介しました。プラグインは文字通り星の数ほどあるので、これ以外にも良いものはあると思いますが、上記は数年間安定して色々な収録音源に対して利用できており、その意味でもおすすめです。
プラグインによる編集は強力ですが、使いすぎ(掛け過ぎ)には注意が必要です。あまり強く設定すると不自然な音になってしまいます。例えば背景ノイズも完全に削除しきる必要はなくて、邪魔にならない程度を目指すのが良いでしょう。
なお、Waves以外ですと ANTINODE Clear も良かったです。こちらは1つのプラグインでノイズ削除、リバーブ除去、音声の強調を一括で行うことができますし、操作もより簡単です。動作は若干重めですが、シンプルにこれだけ入れるのもアリだと思います。
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